2015年2月4日水曜日

読みやすい児童名作全集

Sterling Children’s Books社出版のClassic Startsは、高学年児童向けに、今の子供にも親しみやすい言葉で、原作を簡略化した、児童書の名作シリーズで、子供の頃、自宅にあった、岩波少年少女文学全集を思わせるシリーズです。難しい言葉や込み入ったあらすじ、膨大なページ数などのために、子供達が、古典の児童書から遠ざかってしまうことがないように、平易な文章で、子供が読みきるこができる長さに、書き直されています。私も、こちらのシリーズで、子供の頃、読んだり、読み損ねてしまった児童書を、読み出したところですが、高学年向きの児童書の中でも、文章も簡単に感じ、短い時間で読みきれる一冊になっています。
後ろの方に、著名な幼児教育の専門家である、Dr. Arthur Pober, EdDによる、4ページほどのA Note to Parents and Educatorsという添え書きがつけられていて、子供達が、古典児童書に親しむことの大切さが説かれているのですが、こちらのシリーズの一冊、一冊には、What Do You Think? Questions for Discussionという、物語にそった10問ぐらいの設問があり、読解力中心の問題ではなく、物語の登場人物が語る、社会の問題や価値や基準などを、子供達が考えることで、社会性や内面的な発展を育む教材となっています。

アメリカでは、gifted educationという、特に優秀な子供を対象とした、特別なプログラムがあって、Dr. Arthur Pober, EdDも、gifted educationに携わっていた専門家ということです。
私も、ずいぶん前になりますが、公立の小学校の5年生と6年生のためのgifted and talented programの講師の一人として、短いコースを受け持ったことがあるのですが、リーダーシップに関する教材は、日本の封建制の歴史を元にしたもので、日本の歴史の勉強ではなく、身分制などを知ることで、社会の構成を知り、たとえば、農民が、武士に、切りつけられてしまったりという、そんなのおかしいというような筋の短い物語を読んで、社会のあり方を皆で討論する、というような、歴史の活用でした。こういう歴史の勉強の仕方もおもしろいなと思ったのですが、こちらのDr. Arthur Pober, EdDの文章を読んで、古典児童文学を読むということは、物語を楽しむということだけではなく、昔の社会の様子はどうだったのかということを知るきっかけにもなり、その当時の社会の規定や価値などを現代と比べてみたり、過去、現在への変化を元に、将来は、どうしたらよいか?ということを考える教材としても、活用できるという、お勧めではないかなと思いました。


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