2014年3月13日木曜日

洋書:The Book Thief

少し前に、映画The Book Thiefを観て、原書を読んでみましたが、映画をまず観て、よかったような。映画と、原書では、ここ、という場面の物語が違っているので、原書をまず読んでいたら、映画に、ちょっと違和感を覚えたかもしれません。映画については、2月28日のブログを、ご参照下さい。
たとえば、映画では、ユダヤ人の青年Maxが、少女Lieselに、日記帳をプレゼントするのですが、原書では、日記帳をプレゼントしたのは、Lieselが本を持ち出していた、市長の奥さんで、MaxがLieselにプレセントしたのは、自作の短い物語を綴った、手製の本で、そのMax自作の物語が、Maxにとって、Lieselとの出会いが、どんなに特別なものであるかを語るもので、原書においては、とっても大切な部分だったりします。
そんな感じの部分が、幾つかあるので、映画だけで終わりにしないで、原書を読んで、よかったなと思いました。
それから、その他の原書を読んでよかったなと思った点を。
映画に比べると、一人一人の人物について、もっと詳細な紹介があり、Lieselとのエピソードも、より多く語られているので、Lieselとの交流が、より深く語られています。
たとえば、映画で省略されてしまったエピソードから、Lieselと彼女のbest friendが、無垢な心を持った子供として輝く場面もあれば、それだけではなく、場合によっては、怒りを表す無謀な行動をとったり、飢餓のため、食べ物を盗むグループに加わったりと、ただただ、天使のような子供としてだけではなく、ドイツナチ統治下の貧しい家庭の子供の光と影の両面を表していましたし、
MaxとLieselの友情についても、ただただ、ハッピーエンドを迎えただけではなく、深い悲しみの再会を経た後、再び、奇跡の再会を果たしたというように、より深く、強い結びつきが、描かれています。
また、第二次世界大戦中のナチ統治下における社会についても、映画では紹介されなかった登場人物により、より鮮やかに想像することができましたし、飢餓を感じるほどの、切羽詰った困窮した生活というものも、描写されていて、時代背景が、より明確につかめたように感じました。

洋書空間のmichiさんが、特別企画されている、“アンネとお茶を”に、参加中なので、
“アンネの日記”との関連で、こちらのThe Book Thiefを読んで思ったことを。
The Book Thiefの一場面に、疲れきり、足元もおぼつかないユダヤ人の集団が、ナチの兵士の誘導により、長い長い道のりを、強制収容所まで歩かされ、その途中、町の中心地を通過するというものがあるのですが、Maxを探すLieselも、群集に混じり、ユダヤ人の通過を見守ります。その時の、Lieselの目に映るユダヤ人の表情が、どうしてこういうことになってしまったのかseeking for explanation, confusedというように表されていて、
ナチ統治下におけるユダヤ人の理由なき苦悩というものが、この言葉に表されているように感じました。
また、集団の中の一人の疲れ切ったユダヤ人に、思わず飛び出して行き、パンを差し出した、Lieselの養父が、受け取ったユダヤ人と共に、ナチの兵士に鞭打たれるという場面があるのですが、ユダヤ人のみならず、ドイツ人にとっても、恐怖であるナチ統治下、第二次世界大戦中のドイツに限らず、現在においても、恐怖を感じるような政府を台頭させてはいけないと、政府ということにも、思いがいきました。人としての善が否定されるような政治が成り立つことがありませんように。そして、架空の恐怖や憎悪による、人種差別という伝染病が、広がることがありませんように。



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