2014年2月28日金曜日

洋画:The Book Thief

2005年に出版され、驚異的なベストセラーとなった、Markus Zusak著“The Book Thief”の映画化ということですが、
私は、ベストセラーリストを見ていた時には、ナチの時代の物語ということで、手をひっこめていて、
映画のポスターを観て、何か本に関する物語なのかなと、やっぱり、気になって、
原書を読むより先に、映画鑑賞となりました。
YA Fictionということで、賞もたくさんとっているようですが、幅広い年代の読者を得たようで、映画の観客は、10代と思しき年代は、ちょぼちょぼと加わっているくらいで、むしろ、両親が、第二次世界大戦の経験者というような年代の方が多かったです。

物語は、第二次世界大戦下のドイツにおいて、共産主義者の母から離れ、里親の元で暮らすことになった少女Lieselと、里親のHans とRosa、そして、ナチからの迫害を逃れるため、Lieselの里親の家に、隠れ住むことになったユダヤ人の青年Maxとの、本を通した交流の物語。

この時代背景だと、ナチとユダヤ人、そして、ユダヤ人を匿うドイツ人ということに、焦点をあてた物語なのかなと思っていたのですが、そうではなく、
本の交流を通して描かれる、power of words,
そして、
目には見えない、Death,死の天使のナレーションから、淡々と語られる、死と生きるということに、視点が当てられているように感じました。

まず、題になっている、Book Thiefですが、
9歳にして字が読めなかったLieselが、里親のお父さんHansの助けを受けて、字を学び、読書が好きな女の子に成長していくのですが、ナチの書籍を焼き払う式典から、人々が立ち去った後、こっそりと、焼け残った本の一冊を持ち帰ることから始まり、それを、目撃していた、市長の妻の家に、洗濯物を届けに行った際に、書斎に案内され、市長の妻との読書の時間をもつようになり、その後、それを発見した市長により、出入りが禁止された後も、窓からこっそり書斎に入り、本を(Lieselの言葉によると、借りているということなのですが)持ち出すことを繰り返し、体が弱り、生死の境をさまよっているユダヤ人の青年Maxのために、読み聞かせ続けます。生命を吹き返すこともできるという、power of words。

それと、もうひとつ。
Maxが、ヒットラーの写真がついている本のページの一枚一枚を、白いペンキで塗りつぶし、words are life, Liesel, これらのページは、すべて、君がうめるためにあるんだよ、と、真新しい日記帳として、Lieselに、贈るのですが、その後、ユダヤ人を匿っているという、ナチへの恐怖から、青年Maxが、Lieselの里親の家を、去らなければならない状況になった時も、青年Maxは、Lieselに、僕を失うわけじゃないよ、いつでも、君のwordsの中に、僕をみつけることができる、君のwordsが、僕が、ずっと生き続けていく場所なんだよ、と、power of wordsを、語りかけます。

映画の大半は、第二次大戦が始まり、終わるまでの、Lieselの身にふりかかった出来事で、その後、Lieselが、どんな生涯を送ったかという詳細なしに、 Endingとして、90歳の生涯を閉じるLieselの元に訪れている、Death,死の天使のナレーションとなるのですが、
Death,死の天使曰く、Lieselは、90年という生涯を、とてもwiselyに生き、たくさんの人々の心に触れ、たくさんの人々と人生を共にし、人生の最後を迎えた時には, もう、no words言葉はなく、only peace平安だけがあり、
Death,死の天使に、”What it was like to live”と思わせた、数少ない人間の一人だった。
ということで、
映画の中では、描かれていなかった、Lieselの後生にも、生きるということへの力強いメッセージが含まれていました。




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