2012年3月3日土曜日

洋書:In The Garden of Beasts


洋書:In The Garden of Beasts: Love, Terror, and An American family in Hitler’s Berlin
著者:Erik Larson

日本でも、悲劇の少女アンネフランクやアンネの日記は、第二次世界大戦中のナチスドイツによるユダヤ人迫害に関する本ということで、今でも、広く読まれているのでしょうか?
アメリカでは、ユダヤ人の方がたくさんいらっしゃるせいでしょうか。現在でも、第二次世界大戦中のユダヤ人の方のナチスドイツによる迫害の物語りや、ナチスドイツが出てくる小説やノンフィクションの新しい本などが、話題となります。私も、以前、アンネフランクに関する本以外にも、あの頃はフリードリヒがいたなどの幾つかの児童書や伝記、映画では、ソフィーの選択やLife is Beautifulなど、同じように、ナチスドイツによるユダヤ人迫害が、題材となったものに、幾つか目を通したことがあるのですが、一度観た、ドキュメンタリーフィルムがあまりに強烈すぎて、私、ナチスドイツによるユダヤ人迫害の話しは、もう十分です、という感じになってしまっています。そんなわけで、映画DVDの、The Boy in The Striped Pajamasのカバー写真を見た時も、手に取れなかったり、今日の話題のノンフィクション、In The Garden of Beastsをブッククラブで読むことになった時も、今回は、パスしてしまおうかなと思ったのですが、実際読んでみたら、今まで触れたものとは違う視点で書かれた本で、読んでみてよかったなと思いました。
まず、良かった点ですが、第二次世界大戦前の、ドイツにおけるヒトラーの台頭と社会の変化の歴史を調査して書かれたノンフィクションの本なのですが、学術的な研究書というようなものではなくて、物語のように書かれた読み物となっていて、読みやすく、なおかつ、引き付けられる本となっていた点です。日本の歴史小説のおもしろい本と同じような感じでしょうか。そして、本の主人公が、この時期、アメリカからベルリン駐在大使として派遣された、元大学教授・ベルリン駐在大使の、William Dodd大使とその家族ということで、ヒットラー率いるナチスの残虐性の詳細を描くものではなくて、大使として接したヒットラーや、秘かに軍事力を強化しているドイツの脅威を察知して、アメリカ本国に喚起を促していたけれども、大使の任務は、ドイツ国内のユダヤ人問題など、他国内での自治による問題に関与することではなく、ドイツにアメリカに負っている借務を遂行させることと、第二次世界大戦が勃発しそうだという懸念を無視されてしまったことなどの、アメリカのドイツに関する外交政策、ドイツ高官や他のヨーロッパ諸国から派遣されている外交関係者との交流など、当時のドイツで起こっていたヒットラー台頭の歴史が、アメリカ人大使の外交目線で、描かれています。たとえば、当時、ドイツに滞在中のアメリカ人旅行客が、町中で、軍隊の行進に出くわして、ヒットラーに敬意を表す敬礼を怠ったために、暴力を振るわれたり、全く何の嫌疑もないまま、留置所に拘束されたりという事件が多発していたようなのですが、そういった、一般人が経験した、ドイツ国内での、高まる異常な危険性というようなことを知ることで、ものすごく、当時の異常な社会状況を身近に感じることができました。また、ヨーロッパにおける、第二次再開大戦前の歴史などは、世界史の教科書に出てくるぐらいしか知らなかったのですが、こちらの本を通して、ヒットラーが独裁者としての絶対的な権力をつかむまで、どういった経緯があったのかとか、軍関係の権力闘争、ヒットラー以外に登場した歴史的な人物など、歴史的な詳細も、知ることができました。
こんなノンフィクションを読むのも、たまには、おもしろいですね。
実際に会うと、ヒットラーには、あのちょび髭も似合って見えて、ものすごく美しい青い目をもった、ひきつけられる魅力を持った人物だったということです。

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