2012年3月13日火曜日

洋書雑誌:アマゾン出版業界参入の波紋

洋書雑誌:The Writer February, 2012 Issue
Re:Amazon ventures into traditional publishing

ずいぶん前になりますが、日本で洋書を取り扱う書店の方とお話した時、アメリカのアマゾン進出のために、洋書の販売が、すっかり変わってしまったとお伺いしたことがあります。
皆さんは、アマゾンについてどんな感想をおもちですか?
洋書月刊雑誌:The Writerの2月号に、アマゾンが、今度、出版事業にも進出するということで、従来の出版社の懸念が記事として載っていました。
1990年代にアマゾンが、ビジネスを開始して以来、出版業界に、二度ほど、革命をもたらしたということですが、まず、アマゾンが、オンラインによって、ものすごく値引きした本と郵送料がただ、または、とても安い郵送料で、本の販売を始めたことで、多くの、従来の実店舗を持つ個人経営の書店や、大手書店のチェーン店を、廃業に持ち込んで、本の流通の中心的役割を果たすようになったこと。そして、次に、Kindle を通して、e-booksの販売について革命を起こしたということですが、2010年にAppleが、iPadの販売を始めるまでは、アマゾンのKindleの人気が高すぎて、アマゾンが、出版社に、e-booksを、アマゾンが、主張する価格で販売するようにと要求するなど、出版社が、販売価格を管理できないという問題があったようです。iPadがでてきてからは、e-booksの販売について、アマゾン独占ではない、競争が生まれ、出版社が、再び、販売価格を、もっと、管理できるようになったようですが、アマゾンと出版社の間の、軋轢は、続いているということで、ここにきて、アマゾンが、新たに、出版事業を開始するということで、従来の出版社と、直接、ライバル関係となりました。
アマゾンによると、122の書籍を出版する予定で、すでに、著名な作家数名と、契約を結んだということです。そのうちの一つは、女優で映画監督の、Penny Marshallの回顧録で、契約金は、$800,000と、いうことです。その他、すでに出版社と関係のあった作家ばかりではなく、編集者も、出版社から、引き抜いているということで、出版社は、アマゾンの独占的事業に強い不満を持ちながらも、アマゾンのずば抜けた販売力には、引き続き頼らなければならないということで、なす術も分からず、アマゾンに、脅威を感じているということです。出版社のひとつ、Melville Houseが、The New York Timesに語った談話では、アマゾンが、自社と契約出版した作家の書籍の販売には、特に、力を入れることは目にみえたことで、怒りと不安を感じているということ、また、ビジネスの分析家がThe Wharton Journalに語った談話では、すでに、長年にわたり、アマゾンによって、利益を縮小され続けている出版社と、直接のライバル関係となるということは、関係を更に悪化させることと、述べられています。
一方、アマゾンのRussell Grandinettiが、The New York Timesに語ったところによると、アマゾンは、出版社の批判をほとんど問題にしていないということで、出版に必要なのは、作家と読者だけで、その間にいる人には、危険とチャンスの両方があるんだと述べています。
ここで、洋書雑誌:The Writerから、将来をアマゾンの脅威にさらされるのは、出版社とアマゾンと契約のない作家と書かれているのですけど、アマゾンが出版業界を独占してしまわずに、いろいろな出版社が、自社による、いろいろな視点から個性的で特徴のある本をたくさん出版して、アマゾンと契約のあるなしに関わらず、色々な作家の、色々な本が購入可能というほうが、読者としては、好ましいのではないかな、と、思ったのですけど、皆さんは、どう思われますか?
私は、将来、アマゾンが出版した本だけが、アマゾンの販売網を通して購入可能というようなことにならないといいなと思いました。

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